超音波と鍼の併用治療

超音波を使用することの意義は?

東洋医学研究所®では鍼治療と超音波治療の併用による鎮痛作用の有効性を研究し、その結果を定量的に見出す目的で東洋医学研究所®に来院した1649名に医師の診断結果後、治療を施しました。
超音波(US)治療器は伊藤超短波社製US3型発振器を用い、以下の判定基準に従い各疾患に対する効果を判定しました。

判定基準

  1. 併用治療は1クールを7回としました。効果は1回の治療で現れる場合が多くみられました。
  2. 1クールまたは2クールごとに医師の診察を受けさせました。
  3. 以上を基準にし、著効・有効・比較的有効・やや有効・無効の5つに分類しました。
    ①著効(+++)
    1~7回の治療で訴えの大部分が消失し、14回以内の治療で完全に治癒したもの
    ②有効(++)
    14回以内の治療で訴えの大部分が消失し、21回以内の治療で全治したもの
    ③比較的有効(+)
    治療により症状は軽減するが治療を中止すれば、またもとに戻りやすいもの、および症状の範囲は縮小するが一部に症状が残るもの
    ④やや有効(±)
    症状が僅かに軽減するもの
    ⑤無効(-)
    21回以上の治療で治療前と何ら変化のないもの

判定結果

症病名 +++ ++ + ± - 有効率(%)
坐骨神経痛 28 2 5 3 5 43 88.4
肋間神経痛 14 2 2 0 3 21 85.7
上腕神経痛 20 6 1 2 3 32 90.6
三叉神経痛 9 3 0 1 2 15 86.7
リウマチ性疼痛 30 6 1 5 5 47 89.4
腰痛症 23 15 8 10 8 271 97.0
背痛症 74 13 5 14 16 122 86.9
頭痛症 9 1 0 5 1 16 93.8
頸肩腕症候群 175 17 10 10 11 223 95.1
肩関節周囲炎 55 24 20 13 2 114 98.2
その他の関節炎 69 18 7 9 16 119 86.6
落枕 97 7 5 8 4 121 96.7
肩凝り症 66 7 3 4 6 86 93.0
むち打ち症 49 16 10 16 15 106 85.8
自律神経失調症 59 26 8 14 18 125 85.6
胃腸疾患 124 18 13 15 18 188 90.4
1108 181 98 129 133 1649 91.9

以上のように東洋医学研究所®において取り扱った併用治療患者中より、局所療法に適した疼痛を主とする患者、神経系疾患111例、リウマチ性疼痛・腰痛症・頭痛症456例、頸肩腕症候群・肩関節周囲炎・その他の関節炎・落枕577例、肩凝り症・むち打ち症192例、生体制御療法を元に治療した機能的疾患による患者、自律神経失調症・胃腸疾患313例について併用治療効果を検討した結果、それぞれ高い有効率が確認されました。

超音波療法はドイツその他の欧米において多数の報告がありますが、本邦においてはまだ少なく、ましてや鍼治療との併用治療については初めてであります。
超音波治療のみでの治療効果の成績はローマ学会(1949)において73.9%、有賀が行った成績(1966)は85.2%であり、鍼治療と併用治療することの有用性が示唆されます。
これらの研究に基づいて東洋医学研究所®では、疼痛疾患に限らず鍼治療効果を高める手段として、臨床に応用しています。