生体制御療法としての黒野式全身調整基本穴・・・使用経穴は如何にして決められたか?

昭和31年から昭和43年までの13年間に、東洋医学研究所®に来院した患者中、近代医学の診断結果を得た、内科領域で同一主訴を5例以上有する患者2083名を対象としました。
最初の患者に対する選穴は、経験的に得た経穴を適宜選穴しました。次に患者の申告で主訴が改善された経穴を、前患者と同じ主訴を有する次の患者から使用し、随時同じパターンによりオーバーラップさせて、使用頻度率と有効性を調査しました。
 
結果として、東洋医学研究所®における内科領域(不定愁訴症候群、消化器疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、代謝疾患、泌尿器疾患)における患者の自他覚所見に対して、いかなる経穴を使用していたかという調査検討を行ったところ、生体制御療法としての一つのパターンが確認されました。すなわち、使用してきた経穴の中で、明らかに常用穴および各症状に対する効果穴と思われる経穴が認められました。
 
肺兪 ・厥陰兪は共に1474例、使用頻度有効率は70.8%でありました。天柱・風池・大杼・肩井は1386例、使用頻度有効率は66.5%でありました。したがって、40%以上の使用頻度と症状改善の有効率があった中カン・気海・期門・天枢・天柱・風池・大杼・肩井・肺兪・厥陰兪・脾兪・腎兪・大腸兪の13穴を生体制御療法としての黒野式全身調整基本穴と定め、その個々の経穴に対し、治療することを定めました。