顔面神経麻痺通信9 表情筋について
顔の目や口、鼻などを動かす筋肉です。顔には20種類以上の筋肉があり相互に作用し、人間の複雑な表情を作り出します。また、身体の筋肉は、骨と骨をつないでいますが、顔の筋肉は骨と皮膚につながっているため細かな表情を作り出すことができます。また、表情筋は通常の生活では全体の30%しか使っておらず、無表情で表情筋を使わなかったり、加齢などが原因で衰え、保っていた顔のハリなどのバランスを崩しシワやたるみになります。
下図に示した表情筋の一部について説明します。
前頭筋①は、驚いたときなどに眉(まゆ)を引き上げたり、額にしわをつくります。この筋肉が衰えると額に横ジワが入ります。
眼輪筋②は眉をあげたり、まぶたの開閉、ウィンクなどにかかわります。この筋肉が衰えると目尻のシワや上まぶたのたるみになります。
頬筋⑦は上下のあごの関節から口角まで伸びている筋肉です。口角を上げるはたらきがあります。この筋肉が衰えると口角が下がった寂しい口元になります。
口輪筋⑰は唇の周りの筋肉です。口元のさまざまな表情を作り出します。この筋肉が衰えると口元のたるみやシワにつながります。
オトガイ筋⑱は、唇の下から顎に伸びる筋肉です。下顎を押し上げて顎のラインを引き締める働きをします。この筋肉が衰えると正面から見て二重顎になります。
この他、表情筋には、口角をあげて笑いの表情をつくる大頬骨(だいきょうこつ)筋⑤、いわゆる「えくぼ」をつくる笑筋⑧、口角下制筋⑨、眉間(みけん)にしわを寄せる鼻根筋⑬、激しい感情的な表情で鼻翼を広げる鼻筋⑭などがあります。
表情筋はすべて顔面神経の支配を受けています。したがって、顔面神経麻痺によってこれらの筋が麻痺すると、表情の動きは制限されます。
(文責 井島晴彦)