健康で長生きは自己管理の時代 東洋医学研究所® 黒野保三
東洋医学研究所®所長 黒野保三
謹賀新年 明けましておめでとうございます。
本年も心豊かで楽しい年になりますよう、願いをこめて鍼治療に励みたいと思って新年を迎えました。
私がマラソンに参加し、多くの人をスイスイ追い抜いていきました。追い抜かれた人々は皆「お元気ですね」と言ってくれました。そして「お年はおいくつですか」と尋ねられます。私は「132歳です」と答えながら、あたかも雲の上を走るように軽々と走って楽しい気分で目が覚めました。
平成14年9月に小泉内閣は、医療改革を閣議決定して、同年11月の臨時国会において医学教育や医療に対する改正を法制化しました。そして、平成15年4月にこの法に基づいて、医学教育では東洋医学教育を「2単位以上」義務づけ、教養科目(人間教育)とインターン制度をなくしました。
医療改革では医療経費の削減や、保険問題に至るまで大幅に改革が進められ10年が経過致しました。その結果、医療の崩壊や医師不足、患者のたらい回し等々が問題となり、東洋医学教育もその成果が明らかになっておりません。
そして、昨年11月12日ハワイで開催された環太平洋連携協定(TPP)交渉協定への野田総理大臣の参加は、アメリカの指示によるものでありました。アメリカが日本に輸出を進める目的により日本に厳しい態度で要請したもので、我が国は最初から守勢に立たされてしまいました。
通商問題を扱う米上院財政委員会のボーカス委員長ら与野党の議員団は、日本の参加方針表明の動きに併せて、カーク米通商代表部代表に書簡を送って問題解決を要求しておりました。カーク代表はこうした問題を日本政府と事前協議をして、日本のTPP参加以前に強く働きかけてきたのであります。
また、ホワイトハウスによると、昨年11月12日の日米首脳会談で、オバマ米大統領は野田総理大臣に「日本が交渉に参加する場合、すべての品目を交渉対象とする意思を示す必要がある。」と要求したと報道されております。日本政府関係者は「米議会が事前協議で最大限の成果を求めてくるのは自然」と指摘し、本年は日本への要求はなおさら厳しくなるとみております。
平成14年・15年以後の国内の混迷医療状況に加え、TPP参加による日本の保険・医薬品・医療機器問題は、病める人は無論のことですが、老若男女、子供に至るまで日本人にとって重大な問題であり、一切病気になれないという危機感と、健康は自己責任として自分で守らなければならない時代に入ってきました。
しかし、幸いな事に日本には、明治8年医師法制定以前は医者であった東洋医学を学んだ鍼灸師が健在しております。東洋医学の第一義は「未だ病まざる病を医す」ということで、病気になる前の「養生」があり、「健康維持」「長寿」の助けになる治療法が存在しております。
その第一に上げられる治療法が「生体制御療法」としての鍼治療であります。この方法は、動物実験による「生体の防御機構と鍼灸医学」と題した研究論文や、「鍼刺激によるヒト免疫反応系に与える影響」と題した研究論文(第1~6報・文部省研究助成金による)で示されたように、健康・長寿に有効であることが明らかにされてきました。
健康を保つための基本的な生活習慣は、①よく動くこと、②よく食べること、③よく睡眠をとることであります。
散歩を始められる方は、初日に15分歩いてみて、問題がなければ1週間続けます。次週は20分という具合に5分づつ、40分から50分までのばして下さい。散歩を6か月以上続けますと、体調が良い方向へ変化します。
食事は朝十分食べること。昼は少なめに、夕食は早めに食べるように心掛けて下さい。
夜は23時頃には寝るようにして、朝は6時頃には起きるようにして下さい。
要するに、早寝早起き朝ごはんということと、運動をしてストレスをためないことです。そして病気でなくても週1回以上の健康管理の鍼治療を受けることであります。心身共に健康であれば医療制度がどのように変わりましても問題はありません。
自分の健康は自分で作るということを肝に銘じて健康で長生きをし、楽しく豊かで幸せな人生を送られんことを祈って止みません。