糖尿病通信3 糖尿病治療の目標

糖尿病とは簡単に言いますと、「血液中に必要以上に余った糖(高血糖)が、長い間かけてじわじわと身体中をおかしくする」という疾病です。
 
では、糖尿病と診断されたとして、糖尿病の治療が始まる訳ですが、その糖尿病の治療目標は何を目指しているのでしょうか?
 
答えは、「健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、健康な人と変わらない寿命の確保」です。「維持、確保」とは書かれていますが、糖尿病の「完治」とは書いてありません。
 
つまり、残念ながら今現在、糖尿病自体は治せない、完治しない疾病だということです。
 
しかし、「完治しない」とも書いてはなく、「維持、確保」と書かれています。つまり、健康な人と変わらない生活が「維持」でき、寿命も「確保」できる方法があるということです。
 
そのためには、「血糖、体重、血圧、血清脂質の良好なコントロール状態の維持」をすることが治療目標になり、特に血糖コントロール目標は以下のように定められています。
 
健康維持、寿命確保のためには合併症を予防することが大切なため、HbA1c(過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映)7.0%未満が、まず目指す目標になります。
 
次回は、何故HbA1c:7.0%未満なのか、というお話です。  
    

 

治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。

注1)適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副 作用なく達成可能な場合の目標とする。
注2)合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。
注3)低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。

注4)いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。
 
出典:日本糖尿病学会編、糖尿病治療ガイド 2014-2015

(文責:山田 篤)