(公社)生体制御学会第288回定例講習会に参加してきました

平成30年2月4日(日)(公社)生体制御学会第288回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。

(公社)生体制御学会第288回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

9:30~10:20 睡眠の基礎と臨床 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
名古屋市立大学睡眠医療センター・臨床検査技師長 
安東 カヨコバールドワジ 先生

今回は睡眠の脳波と睡眠随伴症について御講義頂きました。
「1968年に脳波の視点で作られた国際的な睡眠段階があります。その分類は、覚醒、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、ステージレムの6段階に分けることができます。ステージ1が睡眠で一番浅く、α波消失が特徴的です。ステージ2は浅い睡眠になり、脳波は紡錘波とK複合波になります。ステージ3から深い睡眠になり、紡錘波と高振幅徐波が特徴となり、ステージ4は紡錘波は消失し、高振幅徐波の連続が特徴となります。ステージレムは睡眠の中でもぶかい浅い睡眠ですが、覚醒時と同じくらいの眼球運動があります。覚醒と違う点は、レムは筋運動がなく、筋電図をとってもあまり動かないという特徴があります。
私が働いている睡眠医療センターで診断した62%が以前お話しした睡眠時無呼吸症候群であり、5%がレム睡眠行動障害を診断されました。レム睡眠時は筋電図が上がらないのが正常ですが、レム睡眠行動障害ではレム睡眠時に行動してしまう病気です。」とお話しして頂きました。

10:30~12:00 
循環生理学  (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
愛知医科大学医学部生理学講座教授
岩瀬  敏 先生

今回は、脳の機能について御講義頂きました。
「脳領域については、1904年にブロードマンの脳地図が有名で、大脳皮質を52に分類しています。飛躍的な進歩がみられたのは、昭和50年代にイギリスのEMIという会社が開発したCTスキャンでした。
頭頂葉、後頭葉、側頭葉はインプット、情報を処理する機能を主に司っています。前頭葉は、アウトプットであり、情報を発信する機能を主に司っているという特徴があります。
視覚性言語野は目で見たものを認識する機能を司っています。ここが障害すると失読といって読めなくなります。前頭連合野は高等な情報処理を司り、思考・推理・決断などを司ります。
眼優位性とは、片眼遮蔽によって弱視を生じた動物では、眼は正常なのに脳の機能異常のために物が見えなくなっていることです。このことで言えるのは、小児期では眼帯をしてしまうと、眼は正常なのに脳が認識しない現象が起きてしまうことがあるので、やらない方がいいということです。
フィネアス・ゲージという人は、事故で前頭前野に障害をもってしまいました。すると、意思決定や感情の調節ができなくなり、周りからは事故以前の誠実なゲージ氏とはまるで違う人になってしまったと言われたそうです。前頭前野は人間を人間らしくする機能を司っていることがわかっています。」とお話しして頂きました。

13:00~13:50  
生活習慣病の基礎・臨床、診断と治療 
「糖尿病について4」
(公社)生体制御学会研究部生活習慣病斑班長
(公社)生体制御学会理事
山田 篤 先生

今回は「糖尿病について4」と題して御講義頂きました。
前回までの復習で、糖尿病の血糖コントロールや治療目標、糖尿病の診断基準についてお話された後、炭水化物、糖質、単糖類、多糖類などの糖の分類についてスライドを用いて詳細にお話しして頂きました。

14:00~14:50 婦人科疾患に対する症例報告及び症例検討
「流産後の体調管理と流産後に発症したパニック障害に対する鍼治療の検討」
(公社)生体制御学会研究部生活習慣病斑班長
(公社)生体制御学会理事
山田 篤 先生

今回は「流産後の体調管理と流産後に発症したパニック障害に対する鍼治療の検討」と題して、もともと月経症状が強く、常に不安があり、流産したことにより心身ともに不安定になったことから起こったパニック障害を主訴とした女性が、鍼治療により体調が良くなり不安が少なくなるにつれパニック症状も少なくなっていき、そして無事妊娠、出産できた症例についてスライドを用いて詳細な報告がありました。

15:00~16:00 鍼灸学校学生向け企画 婦人科疾患の基礎と臨床
「各論3 妊娠・出産と鍼灸治療」
明生鍼灸院副院長
(公社)生体制御学会会員  
木津 正義 先生

今回は流産と、つわりについてを主に御講義頂きました。
「流産とは妊娠22週未満におこる妊娠中絶のことを言い、9割は12週までにおこります。頻度は30歳未満で8~15%、35歳で20%、40歳で35%流産率があります。
妊娠初期の流産は染色体異常であり、悲しい話ですが、妊娠した時に流産することが決まっています。鍼灸治療では妊娠初期に治療することもありますが、きちんと鍼灸治療は流産率をあげることはないことを説明することが大切です。
その根拠として、オーストラリアで妊娠14週以内の583例で鍼灸治療をしたグループとしていないグループの流産率をみたところ、鍼灸治療をしても流産率は上がらない研究があります。
また、中国では100例において鍼灸治療をしても流産率は上がらなかった研究があり、明生鍼灸院においても妊娠初期600例以上で流産率をみたところ、鍼灸治療をしていない一般の流産率と変わりはなかったという調査をしました。
つわりの症状は人によって違い、吐きつわり・食べつわり・眠りつわり・頭痛・胃痛・めまい・胸やけなど様々です。定義としては、妊娠5~6週より一過性に悪心、嘔吐、食欲不振、食嗜変化などの消化器症状が出現し、妊娠12~16週にはほとんど消失するものとなっています。対処法としては、心身の安静、休養、少量・頻回の食事摂取、水分補給などがあります。」とお話しして頂きました。

このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。