(公社)生体制御学会第4回Web講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加しました

令和4年3月6日(日)(公社)生体制御学会第3回Web講習会講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加しました。

(公社)生体制御学会第4回Web講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)
(Zoomによるオンライン配信)

9:00~10:30
薬による脳疾患の治療は難しい ―血液脳関門と脳標的化技術― 
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座       
名古屋大学環境医学研究所生体適応・防御研究部門脳機能分野教授
澤田 誠 先生

今日は脳と薬について御講義頂きました。
「薬は血液に乗って作用するため、大きな問題点が2つあります。薬が到達しない場所があることと、ほぼ全身に広がるため、いらない場所に作用して副作用になることです。
薬が到達しない場所の一つとして脳があり、今まで脳に関する薬は効きが悪いとされてきました。
なぜ脳に薬が到達しないかというと、他の体の場所と違い一般的な血液が流れないような構造になっています。これを血液脳関門といいます。
しかし、ミクログリアは脳に入ることができ、脳移行シグナル(脳への通行手形)をもっています。
そこを研究することで、ビオチンをくっつけると、脳内へ入れることがわかりました。これを応用すると、今まで脳まで到達しなかった薬を脳へ運ぶことが可能になり、脳に関する病気の薬が飛躍的に良く効く可能性があります。
まだ、効果とコストの問題で実用まで至っていませんが、この技術が薬に組み込めるようになると脳の病気を治療できる薬がどんどん出てくると思います。」と御講義頂きました。


 

10:40~12:10
基礎生理学4 「視床下部機能と自律神経について」
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座 
愛知医科大学客員教授(神経内科)
岩瀬 敏 先生

今日は脳からでる物質について御講義頂きました。
「睡眠に関係する物質として、GABA、プロスタグランジン、アデノシン、セロトニンがあります。逆に覚醒に関係する物質として、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミン、オレキシンなどがあります。
メラトニンは体内時計のリズムを作り出す物質として知られており、オレキシンは睡眠と覚醒のスイッチに関係する物質として知られています。
覚醒中に蓄積したアデノシンが睡眠を促し、カフェインはアデノシン受容体の拮抗なので覚醒を促します。
例えば、楽観主義と悲観主義がありますが、これは脳の側坐核と扁桃体が関係します。コップにまだ半分あると考える楽観主義の方は側坐核がよく働き、コップにもう半分しかないと考える悲観主義の方は扁桃体がよく働きます。
レプチンは満腹の時に出る物質で、グレリンは空腹のときに出る物質で、レプチンは単なるエネルギーの貯蔵庫とみなされ、肥満の天敵と考えられてきましたが、近年の研究により、レプチンは脳に作用して接触を抑制し、エネルギー消費を促進していることがわかってきています。
グレリンは空腹になると分泌されて脳に働きかけることで、食べたいという食欲を増進させます。」と御講義頂きました。