(公社)生体制御学会第260回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。
(愛知県鍼灸生涯研修会)
9:30~10:20 基礎生理学
「感覚受容器と閾値」
(公社)生体制御学会理事
(公社)生体制御学会経理部長
(公社)生体制御学会研究副部長
甲田久士 先生
今回の講義では、鍼治療の基礎となる刺激についてのお話を頂きました。
「人間に自らに備わっている感覚受容器(目、耳、鼻、舌、皮膚)が刺激を受け取ると、電気的変化を起こし、その興奮が知覚神経を通し、大脳のそれぞれの感覚中枢に伝えられ、ここではじめて感覚として成立します。
感覚受容器には閾値(感じ取れる最低の刺激の強さ)があり、刺激が持続すると閾値が次第に高くなり、刺激に対する感度が低下します。これを順応や慣れといいます。
鍼刺激は、感覚受容器の中の痛覚の刺激伝道路である痛覚は、侵害受容器の一つであるポリモーダル受容器によって伝達されます。
そのため、適切な刺激量というものが大事になります。鍼を使った研究においても、ラットの精巣ポリモーダル受容器や筋ポリモーダル受容器の機械刺激に対する反応の実験を行ないました、20gの筋膜上刺激を5回繰り返し与えたところ、反応性は安定していましたが、60gの筋膜上刺激を与えた場合では、5回の繰り返し刺激による反応性は減弱していることが確認できたのです。この結果から、適切な刺激が20gだということが認められています。」
最後に「より良い治療を行うためには、最良の刺激を与えること、適刺激を明確にすることが重要であります。」とお話して下さいました。
10:30~12:00 痛みの基礎
「痛い?痛くない?糖尿病と合併症について」
(社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
栄かとうクリニック院長
加藤泰久 先生
糖尿病の基礎のお話しと歴史についてお話があり、糖尿病の語源は、ギリシャ語で甘い尿だということ、人類最古の病気の一つであることや、平安時代の公卿・藤原道長が糖尿病であったことを教えていただきました。以下にその要旨を紹介します。
「糖尿病の原因について、体質、環境要因、その他様々な要因がからみあって起こるものであり、成人の3~4人に1人は糖尿病の可能性があると言われています。
そして糖尿病の症状は食べてもすぐお腹が減る・のどが渇く・尿が多い・疲れやすい・体重が減るなどでありますが、大半が全く自覚症状がない、というのが現状であります。
診断の指標として血糖値やヘモグロビンA1cなどですが、日内変動があるために血糖値などの数字だけでは捉えられないので注意が必要です。
糖尿病は放っておくと様々な合併症を引き起し、古典的な三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)、動脈硬化による三大合併症(壊疽、脳卒中、狭心症、急性心筋梗塞)などがあり、最近では認知症もこれに加わるなど、神経や血管を痛めることから抵抗力の低下や老化を早めることにもなります。
治療法については、食事療法や運動療法など日頃の生活習慣について真剣に見直す必要があります。
また、加藤先生が国立病院機構 名古屋医療センターに在職されていた折の、昨年の3月11日に発生した東北大震災での支援活動にあたられた際のビデオの映像とともにご紹介頂きました。
最後に、糖尿病を診ることはその人の人生を預かるようなものであり、深い思いを胸に施術される人間性が重要であるとのお話がありました。
13:00~13:50 疼痛疾患の基礎・臨床、診断と治療
「腰痛に対するアプローチ法について」
(公社)生体制御学会監事
(公社)生体制御学会研究部疼痛疾患班班長
河瀬 美之 先生
今回は、鍼治療の臨床の現場において重要な疾患である腰痛(筋性腰痛、椎間関節性腰痛、椎間板性腰痛、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症)について病体分類から診断法、予後についてまでスライドを用いて詳細な説明がありました。
14:00~14:50
疼痛疾患に対する症例報告及び症例検討
(公社)生体制御学会理事
(公社)生体制御学会教育部長
福田 裕康 先生
今回、2度の交通事故に遭われた50代女性と40代男性に対して、黒野式全身調整基本穴を用いた生体制御療法を施した症例に対し、不定愁訴カルテと徒手検査によりどのように症状が良くなったかについて、スライドを用いて説明していただきました。
このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。