(公社)生体制御学会第268回定例講習会に参加しました。

(公社)生体制御学会第268回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

平成26年2月2日(日)(公社)生体制御学会第268回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。

9:20~9:30
第18回(平成25年度)愛知県鍼灸生涯研修会における(財)東洋療法研修試験財団発行の生涯研修終了証書の授与が行われました。

挨拶をする生体制御学会副会長の服部輝男先生
 
代表で表彰状を授与される東洋医学研究所®
主任の橋本高史先生

9:30~10:20  基礎生理学
 「心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価(2)」
(公社)生体制御学会研究部長  
皆川宗徳 先生

今回は、筋膜上圧刺激の基礎研究と、第66回日本自律神経学会総会においての最新の自律神経の研究内容についてお話しをいただきました。
「東洋医学研究所所長®の黒野保三先生と名古屋市立大学大学院医学研究科医学・医療教育学分野教授の早野順一郎先生との共同研究で行われた心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経の評価研究結果が、2012年にオートノミックニューロサイエンス誌に『ダン中(CV17)への鍼刺激は心拍変動の心臓迷走神経成分を増加させるが中庭(CV16)への刺激では増加しない』と題して、2012年に自律神経雑誌に『心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激に対する自律神経反応の評価―』と題して、論文が掲載されました。この研究は、人における自律神経活動の客観的な指標を使用し、得気を生じさせない筋膜上圧刺激の自律神経への影響を報告した世界ではじめての研究であります。
海外では、得気を生じさせたときの独特な感覚(しびれ感、重い感じ、放散する感じ、うずき感、締め付けられる感じ)を与えることを鍼刺激として定義されており、このような、得気を生じさせるような鍼刺激(侵害刺激)では、副交感神経機能の亢進は認められず、交感神経機能が亢進するという海外の研究結果が紹介されました。
また昨年開催されました第66回日本自律神経学会総会に黒野先生と参加させて頂き、鍼灸・東洋医学のセッションで、私が『心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激の経穴特異性の検討―』、山田篤先生が『心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価 -鍼刺激の持続効果について-』と題して、発表させて頂く機会を得ました。
自律神経学はもともと名古屋で盛んに行われていることから、現在、自律神経の研究を行うことができるのも、黒野先生に長年基礎研究において各大学との太いパイプ(名古屋市立大学、名古屋大学環境医学研究所、愛知医科大学)を作ってきていただいたお蔭と感謝しております。
この名古屋の地で、自律神経の研究ができることに深く感謝し、この環境に甘んじることなく、黒野先生のご指導を頂きながら、情熱と感性を大事にして研究に邁進していきたいです。」というお話しをいただきました。

10:30~12:00 痛みの基礎 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座 
 「ペインクリニック外来における、超音波診断装置の応用」
 名古屋市立大学大学院医学研究科
 麻酔・危機管理医学分野病院准教授  
杉浦健之 先生

今回は、超音波検査で行う治療を中心にお話ししていただきました。
「体の奥の異常は触診、聴診、血圧測定、レントゲン、MRI、CT、超音波検査などで判断します。
超音波は動物ではコウモリが暗闇でも障害物を避けられるように、飛ぶ虫を食べられるように超音波を出して、跳ね返ってくるもので位置を確認します。また、イルカはエサである魚を超音波で探したり、コミュニケーションに使ったりすることが知られています。
医療界での超音波の開発は、1947年にウィーン大学神経内科のKarlによって脳の検査が試みられました。しかし、当時は技術的な問題でうまくいかず、1960年代になってやっと実用的な超音波診断装置が作られるようになりました。
超音波の利点は大きく3つあり、血管穿刺が楽になったこと、神経ブロックが楽になったこと、非侵襲的に体を傷つけることがなく運動器の超音波観察ができるようになりました。
臨床では、三叉神経痛の治療でオトガイ孔や眼窩下孔を超音波検査で見つけながら神経ブロックが確実にできるようになりました。同じように、腰痛、下肢の治療に大腰筋 筋溝の腰神経叢を狙って超音波検査でみながら神経ブロックを行います。
これらの神経ブロックは感覚神経、運動神経共に神経ブロックしてしまいました。しかし、最近ではTRPV1(トリップブイワン)など感覚神経だけを選択的に麻酔することができるようになり、期待されている分野です。」ということを教えて頂きました。

13:00~13:50 疼痛疾患の基礎・臨床、診断と治療
「頚肩腕痛に対する徒手検査について」

(公社)生体制御学会研究部疼痛疾患班班長
河瀬 美之 先生

今回は、「頚肩腕痛に対する徒手検査」について、生体制御学会ホームページからダウンロードできる「頚肩腕痛に対する徒手検査記録表」に沿って、徒手検査の際の注意点などについて実技をまじえて詳細な説明がありました。

14:00~14:50
疼痛疾患に対する症例報告
「末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の一症例」
                     
東洋医学研究所®スタッフ
臨床鍼灸医学研究会会員    
角田  洋平  先生

今回、末梢性顔面神経麻痺と診断され、点滴・服薬治療をしたものの状態が良くならなかった患者に対し、鍼治療と顔の運動神経と筋肉の再教育を行ったところ、顔面神経麻痺が軽減した症例について、スライドと資料に基づいて詳細に報告していただきました。

このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。