糖尿病通信11 インスリンについて

糖尿病は、「血液中に必要以上に余った糖(高血糖)が、長い間かけてじわじわと身体中をおかしくする」という疾病なので、血糖値を下げて一定に保つことが大事です。その血糖値を下げる唯一のホルモンが「インスリン」です。
そこで今回は、インスリンにまつわるお話です。

○インスリンの由来は「島」にあり?
19世紀にドイツのランゲルハンスさんが膵臓内にある島のような存在を見つけました(ランゲルハンス島)。インスリンはこの島から分泌されています。
インスリンの語源はラテン語で「島」を表す「insula」からで、ランゲルハンス島から分泌されることからインスリン(insulin)と名付けられました。

○インスリンの作用は血糖値を下げるだけ?
インスリンは、骨格筋や脂肪組織に糖を取り込んで貯蔵したり、身体に有意義に利用したり、肝臓から糖を生産するのを抑えたりして、血糖値を下げて一定にしようとします。
それとは別にもう一つ頭に入れておきたいことがあります。それはインスリンの分泌と高血圧の関係です。
インスリンが分泌されると体液量が増えます。糖尿病でインスリンが効かない状態だとインスリンの血中濃度が高くなり、体液量が増える方向に働き、結果として高血圧になります。これが糖尿病になると高血圧を併発することが多い理由です。

○インスリンの後発薬は?
一部の人は毎日インスリンを利用しなければならないのですが、インスリンは高価な薬です。そこで安価な後発薬があってもと思いますが、まだ実現されていません。
理由として、インスリンは少しずつ改良され続けたため特許更新がされています。そのため特許の切れた古いタイプを作っても利用されない。また、現在のインスリンの複製を作るには難しく、他の薬よりも厳しい基準をクリアしなければならないため、労力に見合う成果が得られない為といわれています。
一筋の光としては、2015年に特許切れが相次ぎます。インスリンの市場はまだまだ成長が続くといわれていますので、インスリンの後発薬に投資する製薬会社は必ず現れるはずです。

インスリンは、昔は牛や豚から作られ、今や遺伝子組み換えによるヒトインスリンが作られるようになり、その後、超即効型や持続型などが開発され、約100年進歩発展してきました。
そのインスリンは糖尿病を語るには必要不可欠です。今後も注目すべきでしょう。

(文責:山田 篤)