顔面神経麻痺通信8 柳原法(40点法)による顔面神経麻痺の予後予測

今回は具体的な柳原法による予後の予測について名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野教授、名古屋市立東部医療センター病院長の村上信五先生の研究をご紹介させて頂きます。
1)対象
麻痺発症後1週間以内に名古屋市立大学耳鼻咽喉科を受診したBell麻痺患者で、麻痺が治癒するまで、治癒しなかった場合は1年以上経過観察できた392例を対象とした。男性193人、女性199人で年齢は5歳~87歳(平均46.7±17.9歳)であった。
2)方法  
Bell麻痺患者392例を、最終スコアで治癒群(38~40点)、改善良好群(32~36点)、改善不良群(30点以下)の3群に分類して、各群の経時的な麻痺の回復曲線を作成した。
村上先生は、麻痺発症から1年間スコアをつけていくと、軽い症例はすぐに点数が良くなって早く治ることがわかった。一方で重症例はその治癒曲線になかなか追いついてこなかった。40点法で一週間以内に12~14点以上あれば治る、あるいは1ヶ月経っても20点を超えている人は治るなど、将来どのような経過をたどるかを予測することができると報告されています。

東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、このような情報から得られた予後予測に基づき、顔面神経麻痺の病態に合った的確な治療をさせて頂いております。そして、第36回(公社)生体制御学会学術集会における顔面神経麻痺シンポジウムにおいて、鍼治療を行うことにより、柳原法から導き出された麻痺回復経過より良好な回復を示した症例について報告させて頂いております。
是非、安心して鍼治療をお試し下さい。      

(文責 井島晴彦)