一般社団法人 生体調整機構制御学会 設立記念公開講演
平成21年4月5日、名古屋市立大学付属病院において「一般社団法人 生体調整機構制御学会 設立記念公開講演」が開催されました。
この講演会の講師として、東洋医学研究所®所長 黒野保三先生が「生体調整機構と鍼灸施術との関わりについて」と題して講演されました。
講演される東洋医学研究所®所長の黒野保三先生
日 時
平成21年4月5日(日)午前10時~午前10時50分
場 所
名古屋市立大学川澄キャンパス
付属病院3階大ホール
参加費
無料
テーマ
『生体調整機構と鍼灸施術との関わりについて』
講 師
東洋医学研究所® 所長 黒野 保三 先生
司会をされた藤田保健衛生大学医学部七栗サナトリウム内科
教授の松本美富士先生
医療の現場で一番大切なもの、それは「患者さんにいかに良い施術が提供できるか」という基本的なことを一番大切にしなければならない。そのためには医療連携が不可欠であり、科学的な根拠を基に行なわれている西洋医学と、長い歴史の中で培われてきた東洋医学、それに関連する基礎研究等、集学的研究が行える研究システムが必要であり、そのために生体調整機構制御学会を設立致しました。
鍼治療の現場では、長期間色々な治療を受けても、治らなかった症状が一回の鍼治療で嘘のように良くなった、なかなか眠れなかったのが、一回の鍼治療で眠れるようになった、花粉症の人に鍼をした瞬間に鼻づまりが良くなった等々、数限りない摩訶不思議な現象に遭遇します。しかし、科学的な裏付けがないため、鍼治療を受けたことがない人は信用できる治療法かどうかわからないという欠点があります。
鍼治療の時にツボ(経穴)を使って治療していますが、未だツボがどのようなものかは、はっきりとわかっておりません。研究により、ツボの一つである合谷穴を使って鍼を刺す深さは5~7mmの筋膜に圧を加える程度が一番良いことが証明されました。また、新潟大学生理学の小林庄一先生が合谷穴の皮膚の反応を研究しました。その2つの研究を合わせて考えると、合谷穴は1cmくらいの広さに約2mmのスポットがあり、深さは5~7mmに圧を加える程度が良い、というツボを定量的にとらえることが出来ました。このように、様々な分野の人達が様々な角度から鍼灸を研究していき、真の鍼灸学を作り上げなければなりません。
理想の医療体制として、現在の一般内科、鍼灸施術、湯液療法を行う総合内科を作り、内科専門医、鍼灸師を配置して、患者さんが病院に行くときにはまずそこを受診し、副作用のない鍼灸治療を施し、他の専門医が必要な場合には、各科と連携して治療を行なうことが出来る医療体制が患者さんのためであり、医療経済的にも医療費を抑えることが出来ると考えています。