(公社)生体制御学会第286回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました

平成29年7月2日(日)(公社)生体制御学会第286回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。

(公社)生体制御学会第286回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

9:30~11:00 循環生理学 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
愛知医科大学医学部生理学講座教授   
岩瀬 敏 先生

今日は、血圧について御講義頂きました。
「血圧を決める要因は3つあります。1つめは前負荷といい、血流が増えると血圧が上がるもので循環血漿量が主な要因になります。この血流が増えると血圧が上がる現象を反対に利用した薬が利尿剤で、利尿剤を飲むと血圧が下がります。2つめは心収縮力で心拍数が主な要因となり、心拍数が多いほど血圧が高くなりやすくなります。3つめは後負荷で末梢血管抵抗が関係します。血圧の調節は大きく3つあり、時間、神経性調節、液性調節(ホルモンなど)によって調節されています。
血管は毛細血管が多く、静脈は血液の貯蔵庫と言われるように75%血液を貯蔵しています。動脈は25%となります。血液が3分の1ほど体から出血すると死んでしまいますが、体に酸素が回らなくなるから死ぬのではなく、全身に血液が回らなくなることでショックを受けて死んでしまいます。
心不全の中でも左心不全はぜぇぜぇ呼吸したり、心臓喘息になったり、肺に水が溜まったり肺に症状がでます。右心不全では全身に症状がでて、胸水、腹水など体に水が溜まるのが特徴です。心不全は浮腫を起こしますが、浮腫は組織(間質)液量が増加することで、原因として毛細血管圧の上昇、毛細血管の透過性亢進、リンパ管の閉塞、血漿膠質浸透圧の低下によって起こります。」とお話しして頂きました。

11:10~12:00 
睡眠の基礎と臨床 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
名古屋市立大学睡眠医療センター・臨床検査技師長
安東カヨコ・バールドワジ 先生

 今日は睡眠、特に睡眠時無呼吸症候群について御講義頂きました。
「私は臨床検査技師で睡眠医療センターで睡眠について主に検査をしています。睡眠医療センターで行っている主な検査は、①終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)、②日中の眠気の検査(MSLT)、③覚醒維持検査(MVT)、④むずむず脚診断検査(SIT)、⑤CPAPタイトレーションなどがあります。2016年の診断内訳としては睡眠時無呼吸症候群が62%ありました。
睡眠時無呼吸症候群とは、夜間睡眠中に無呼吸を繰り返し、その結果、日中睡眠などの種々の症状を呈する疾患の総称になります。分類には閉塞型と中枢型と混合型があり、上気道が閉塞して呼吸が停止する閉塞型が9割を占めます。睡眠時無呼吸症候群の主訴としては、昼間のねむけ、何度も夜にトイレに行く、いびきがうるさいと言われる、自分のいびきで目が覚める、朝起きたときに口が渇いているなどで来院します。 
 睡眠時無呼吸症候群の治療としては、肥満体型はまず減量、たばこやお酒は控える、シーパップ(経鼻持続陽圧呼吸療法)、マウスピース、外科的治療があります。シーパップは鼻マスクをつけて空気を送り込み、上気道の閉塞を防ぐ治療方法になります。睡眠時無呼吸症候群の治療に最も効果的であり、その有用性、安全性から広く使われており、日本では1998年に医療保険適応として普及しています。」とお話しして頂きました。

13:00~13:50  
生活習慣病の基礎・臨床、診断と治療 
「糖尿病について2」
(公社)生体制御学会研究部生活習慣病斑班長
(公社)生体制御学会理事
山田 篤 先生

今回は、「糖尿病について2」と題して御講義頂きました。
糖尿病とはどのような疾患か、また原因や合併症について、血糖コントロールである運動・食事・薬物療法について、検査方法や検査の意義など、基本的な知識について、またヘモグロビンA1cについて詳しくご説明があり、スライドを用いて詳細にお話しして頂きました。

 
14:00~14:50 婦人科疾患に対する症例報告及び症例検討
「経絡治療と不妊症」
経絡治療学会東海支部支部長
加賀 敏朗 先生

今回は「経絡治療と不妊症」と題して、本治法と標治法についてのお話と、二人目を希望する不妊の患者が4ヶ月の鍼治療によって妊娠に至った症例について東洋医学的な視点から臨床の経験を踏まえてお話しして頂きました。

15:00~16:00 鍼灸学校学生向け企画 婦人科疾患の基礎と臨床
「各論1 婦人科の基礎」
明生鍼灸院副院長
(公社)生体制御学会会員  
木津 正義 先生

 今回は婦人科の基礎について、特に妊娠に至るまでの条件を御講義頂きました。
 「妊娠する為に必要な事として射精してから受精するまでの過程を11に分けることができます。運動性のある良好で多数の精子の射精、卵胞の発育、ホルモンの働き、卵管内で受精が始まる事、子宮内での着床、このような過程を重ねる事で妊娠ができます。一つでも問題が起きると妊娠はできません。精巣は精子製造工場であり、新しい精子を作り出し増やしますが、卵巣は貯蔵していた卵子を排卵してしまうので、年齢が高くなると卵胞の数が減少し、不妊率が高くなります。しかし、鍼治療で自律神経や内臓機能、骨盤内環境を整える事で、血流をうまくコントロールできるようになり、卵胞の質をより良い状態にして、妊娠という良い結果を得られる可能性が高くなります
」とお話しして頂きました。

このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。