お知らせ 令和4年度(公社)生体制御学会第2回Web講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加しました

令和4年10月2日(日)に令和4年度(公社)生体制御学会第2回Web講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加しました。

(公社)生体制御学会第6回Web講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)
(Zoomによるオンライン配信)

9:00~10:30
基礎生理学2
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座 
愛知医科大学客員教授(神経内科)
岩瀬 敏 先生

今日は脳神経の基礎を主に御講義頂きました。
「第Ⅴ脳神経である三叉神経は一番太い神経であり、主に顔面の知覚を司っています。その中の下顎神経は、咬筋と側頭筋の動きを支配しています。
第Ⅵ脳神経は顔面神経になります。一言で言えば顔の表情筋を支配します。また、味覚、涙腺、唾液腺を支配しています。
顔面神経麻痺の症状として、額にしわがよらない、まぶたが閉じきれない、鼻にしわがよらない、口角をひっぱれないの4つの症状がでてきます。
 第Ⅸ脳神経は舌咽神経になります。舌咽神経の役割は嚥下反射(のみ込み)の支配、上咽頭の感覚を中枢に伝える、頸動脈からの血圧情報を中枢に伝える、舌後ろ3分の1の味覚感覚を中枢に伝えます。
第Ⅹ脳神経は迷走神経です。迷走神経の支配領域は広く、下咽頭から結腸の脾曲(左上腹部)までを支配し、また、内蔵の副交感神経を支配します。
第Ⅺ脳神経は副神経です。副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋、喉頭の筋肉を支配する運動神経になります。」と御講義頂きました。

10:40~12:10
「情動中枢と情動回路」
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座       
名古屋大学環境医学研究所生体適応・防御研究部門脳機能分野教授
澤田 誠 先生

今日は感情について御講義頂きました。
「感情とは、快・不快や喜怒哀楽・愛憎などの多彩な心理反応のことです。脳科学的には①その当人しかわからない主観的な側面と、感情が中長期的にそれほど強くなく持続する状態(気分)と、②外部から観察可能な側面(情動)があります。
情動は生存に必須な基本的脳機能であり、情動が発生した結果、感情や気分といった認知活動が生じます。
情動は自分自身の生存にとって好ましいか好ましくないかを判断するためのメカニズムになります。好ましいことは、快の情動(嬉しさ、楽しさ、満足)を発生し、種の保存、個の保存にとって都合が良く、好ましくないことは、不快の情動(怒り、恐怖、悲しみ、不安)を発生し、種の保存、個の保存にとって都合が悪くなります。
種の保存や個の保存は生命の大原則であり、生物が生き残るために必要な原理になります。
では、情動はどこから生じるのでしょうか。
「悲しいから泣く」のでしょうか、「泣くから悲しい」のでしょうか。「悲しいから泣く説」は1927年にキャノンによって中枢起源説。「泣くから悲しい説」は1885年にジェームズによって情動の末梢起源説として提唱されています。この2つはどちらも矛盾するところがあり、心理学者のスタンレーとジェロームは情動二要因説といって、情動表出は①知覚された情報と、②自信を取り巻く状況についての情報や既存の知識という2つの要因によって生じることを提唱しています。」と御講義頂きました。