お知らせ (公社)生体制御学会第298回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました

令和2年2月2日(日)(公社)生体制御学会第298回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。

(公社)生体制御学会第298回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

9:30~10:20
自律神経機能評価  (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
「情動と自律神経活動」        
名古屋市立大学研究員 吉田 豊 先生

今日は情動と自律神経活動について御講義頂きました。
「人は喜怒哀楽によって心拍が変動することから、脳内の自律神経中枢と情動中枢は密接に連携しています。このことは、心拍変動に情動状態が直接的に反映される可能性があります。もし、心拍変動から情動を判別可能ならば、心理評価、製品の客観的評価人工知能への組み込みなどに応用ができます。そこで、我々は情動が生じたときの心拍変動へ機械学習を適用し、情動判別が可能かどうかを研究しました。その結果、『心配』や『悲しみ』は『喜び』に比べても心拍変動に特徴的なパターンが現れて、機械学習が判別できました。『喜び』の心拍変動は個人によって様々なパターンがあり、判別がし難いという結果となりました。これらから、情動と自律神経は密接な関係があり、情動の変化は心拍変動に反映し、その心拍変動をみることによって、リハビリのプラン、心理評価、製品の客観的評価が可能になると考えています。AIに心拍変動を取り入れることにより、人とAIの対話の精度が向上し、共存する時代がくると思っています。」と御講義頂きました。

10:30~12:00
基礎生理学 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座 
愛知医科大学医学部生理学講座教授
岩瀬 敏 先生

今日は脳について御講義頂きました。
「側頭葉は主に記憶を貯める場所になり、聴覚処理にも関わります。下側頭回が障害されると、色覚障害(色がわからなくなる)、画像失認(絵の中身を理解できない)、相貌失認(誰の顔かわからなくなる)がおこるようになります。ウェルニッケ野が障害されると、聞いた言葉の理解ができなくなり、音韻性錯語や、意味性錯語がおこるようになります。
失語、神経心理学のはじめは失語症学からになります。運動性失語は別名ブローカ失語と言われ、発語器官に異常がなくても、物が言えなくなります。感覚性失語は別名ウェルニッケ失語と言われ、人の喋りが理解できない、自分の言葉が理解出来ないので、フィードバックができなくなります。
右脳、左脳はスペリーという学者が分離脳を研究したことが始まりになります。左右半球の連絡に脳梁があるのですが、1950年頃、てんかんの患者の脳梁を治療で切ることがありました。スペリーはこの脳梁を切った患者の分離した脳(分離脳)を研究しました。右目に「BELT」、左目に「HAT」という文字を分離脳の人に見せて『見た文字のものを取って下さい』と指示をすると、帽子をとって、ベルトをとることはありませんでした。その後も色々と研究をして、右と左の脳は別々のことをしていることを報告しています。」と御講義頂きました。


 

13:00~13:50  
心臓リハビリテーションに対する基礎・臨床(3)
  「心臓リハビリテーションにおける管理栄養士の役割」
名古屋ハートセンター栄養科 管理栄養士主任
島田 晶子 先生

今回は「心臓リハビリテーションにおける管理栄養士の役割」と題して御講義頂きました。
「名古屋ハートセンターでは多職種協同のリハビリテーションをもって患者さんの回復を図っております。医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・事務の方々も含めてチーム医療を行なっており、入院患者だけでなく外来患者の心臓リハビリテーションも実施しております。
そして事務員以外の方は心臓リハビリテーション指導士の資格を持っています。各々の役割も担いつつも専門分野だけでなく幅広く心臓リハビリテーションの知識を持っています。そして皆で情報共有をすることによるチーム医療を心掛けています。
外来リハビリテーションの流れとして、医師が心臓エコーの状態や心電図、運動負荷試験等の評価をして理学療法士が運動療法や指導(栄養に見合った運動で運動耐容能の向上)、看護師が生活指導(生活背景の是正)、管理栄養士が食事などの栄養食事指導(栄養が足りているか、不足している栄養素はないかなどを確認)を行ない、介入手順を統一し、ミーティングと情報管理をして『もれなくダブりなく』情報共有をし、介入しながら医師の面接を経て、約半年の間で中間経過評価、リハビリ終了時の評価を行います。

継続的な介入として年齢や疾患別(心不全や心血管術後、心筋梗塞など)の患者の層別をし、生活背景などの情報収集、食欲の有無を確認します。管理栄養士は、採血データだけでなく食塩摂取簡易測定器を用いて実測値を測定し、食事記録よりエネルギー・タンパク質充足率を算出し、エネルギー比率を確認しながら栄養価計算値を用いることで指導内容を明確化しています。
そして半年の間に栄養食事指導を継続的に3回以上行っていれば低栄養リスクがかなりなくなり、運動耐容能の向上に関連する可能性が大きいです。」ということを、スライドを用いて詳細に御講義頂きました。

15:00~16:30 名古屋市立大学睡眠医療センター認定 睡眠育成士認定講座(4)
睡眠の基礎と臨床
「睡眠衛生指導について」            
名古屋市立大学睡眠医療センター 臨床検査技師
安東カヨコ バールドワジ 先生

今回は、睡眠衛生指導についてご講義頂きました。
「『健康づくりのための睡眠指針2014』には以下の12箇条があります。

1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5. 年齢や季節に応じて、昼間の眠気に困らない程度の睡眠を。
6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7. 若年世代は夜更かしを避けて、体内時計のリズムを保つ。
8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11. いつもと違う睡眠には、要注意。
12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

その中で、就寝前のカフェイン・お酒の摂取、喫煙や寝床での考え事をやめましょうと睡眠ガイドラインには書かれています。今回は特にカフェインについてお話をします。
飲料に含まれるカフェインの量ですが、実はほうじ茶や玄米茶はカフェイン量が少なく、玉露が一番多いのです。玉露はコーヒーの3倍のカフェイン量が含まれています。また、コーヒーでも喫茶店のコーヒーのほうがコンビニのコーヒーよりもカフェインが多く、昼間に飲んでも飲み過ぎると夜眠りにくくなってしまいます。カフェインには『カフェイン中毒』と呼ばれるくらい飲まないと落ち着かないという人がいるくらい中毒性がありますので気を付けてください。
今はカフェインゼロの緑茶も販売されており、就寝前やトイレが気になる時、お子さんから妊婦さん、高齢者まで安心してお飲み頂けるお茶もありますので、ご利用いただくとよいと思います。
睡眠時間が取れない理由として若年層は寝床にスマートフォンを持ち込むことが挙げられます。中高年層ですと社会的ストレスを抱え睡眠リズムが狂う方が増えます。高齢者になると入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒が多くなります。
対策としては、眠れない苦しみを抱えずに専門家に相談することです。一人で悩まず医師に相談することが大切であり、睡眠を自分でコントロールすることも大切です。」と御講義頂きました。