お天気と体の関係(4)自律神経を整えるには? 東洋医学研究所®グループ  かどむら鍼灸院 院長 角村 幸治 令和2年8月1日号

8月は夏真っ盛り。こよみの上では8月8日に立秋を迎えますが、まだまだ冷房や暑さ対策が必要な季節です。冷房は暑い時につけると気持ちのいいものですが、外気温との差が激しくなるため、自律神経が乱れやすく注意が必要です。
また、今年はコロナ禍によるストレス、外出自粛による運動不足や精神的に不安定で体調を崩し気味の方も多いのではないでしょうか。
前回のコラムでは、「激しい寒暖差は自律神経失調を起こしやすい」ことをお伝えしました。今回は、自律神経を崩してしまった場合、どのような対処が必要かを少し話したいと思います。

自律神経失調症と症状
自律神経失調症とは、ストレスなどが原因で自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れてでる様々な症状をいいます。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれています。交感神経は主に体を動かすときに働き、副交感神経は体を休めるときに働きます。交感神経と副交感神経はお互いにバランスを取りながら体を調節していますが、このバランスが崩れることがあります。その原因としては、不規則な生活、ストレス、睡眠不足、更年期におけるホルモンの乱れなどが挙げられます。
症状としてだるい、眠れない、疲れがとれない、頭痛、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなどがあり、人によって様々で多岐にわたります。
精神的症状として、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。

適度な運動で自律神経を整える
日中は体を動かすために交感神経が優位になり、夜は体を休息させるために副交感神経が優位になります。理想は、日中に体を動かして、しっかりと交感神経を高め、夜はリラックスしてしっかりと副交感神経を高めることです。
散歩などの有酸素運動は、朝、交感神経のスイッチを入れるのに適しているので習慣的に行うことをお勧めします。ゆっくりと呼吸をしながら行うストレッチは、副交感神経を優位にして、心身をリラックスモードに導きます。
日々習慣的に運動をすることで、自律神経が乱れにくい体を作ることができ、乱れた自律神経を元に戻すことをしてくれます。

睡眠の質を高めて自律神経を整える
睡眠は脳が活動しているレム睡眠と、脳の活動が低下する深い睡眠状態といわれるノンレム睡眠に分けられます。良い睡眠をしっかりととることで、疲れた体と心をしっかりと回復させて、自律神経を整えることができます。
良い睡眠をとるコツは一番深いノンレム睡眠になる最初の90分をしっかりと深い眠りにすることです。
良い睡眠をとるためには、入眠前にリラックスして、強い刺激を受けないことが大切です。寝る前のスマホやゲームは強い光で交感神経を高めてしまいます。早めにやめて、自分がリラックスして、ゆっくりした気持ちになれることをすることをお勧めします。
好きなこと、リラックスできることは人それぞれですが、お勧めは、スマホをする代わりに好きな音楽を聞くことや、好きな本を読む、好きなアロマを焚くなどです。

自分なりのリラックス法で自律神経を整える
コロナ禍など、世の中、いろいろなことが起こり、ストレスなどで自律神経が乱れがちです。ストレスなどで交感神経が過剰になる前に、普段から自分に合ったリラックス法をすると自律神経が乱れにくい体になります。散歩などの有酸素運動の他、ヨガや呼吸法、瞑想など、自分の好きなことをみつけ、リラックス時間を1日のうち、少しでももつことをお勧めします。

鍼治療は自律神経を整える
東洋医学研究所®所長黒野保三先生の長年の研究により、生体制御療法の鍼治療により自律神経が整うことがわかってきています。いろいろやってみてもなかなかうまくいかない方、自律神経を整えたいと思う方は鍼治療を受けてみてはいかがでしょうか。

引用・参考文献
・Kurono Y, Minagawa M, Ishigami T, Yamada A, Kakamu T, Hayano J.
Acupuncture to Danzhong but not to Zhongting increases the cardiac vagal component of heart rate variability. Autonomic Neuroscience:26(1・2).2011:116-20.
・Tarzan.自律神経を整える.2020.
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
(厚生労働省.E-ヘルスネット.2020.6.8)